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ビジネスを行う上で法人カードは非常に有効です。会社用のクレジットカードを社員に持たせれば経費処理の作業を大幅に削除することができますし、経費計算も楽です。

ただ、役員や社員に法人カードをもたせるときに問題になりやすいこととして「不正利用(私的利用)」があります。本来は個人のお金で支払わないといけないものの、法人カードを利用して会社のお金で決済をしようとする行為が不正利用となります。

従業員に追加カード(追加の法人カード)や法人ETCカード、法人ガソリンカード(給油カード)をもたせることはよくあります。このとき、悪意のある社員がプライベートでの旅行で法人ETCカードを利用したり、自家用車の給油で法人ガソリンカードを使用したりするのです。

人間である以上、こうしたことを考える社員は必ず出てきます。

そこで会社としては、不正利用がないように対策を練らなければいけません。どのような対策を行えばいいのかについて理解し、より安心してビジネスを行える環境を整える必要があります。特にガソリンカードは私的利用されやすいため、適切な対策を講じる必要があります。

不正利用は業務上横領になる

まず、悪意があって法人カードを個人的に不正利用する場合、業務上横領になります。会社のお金を盗んだことになるため、当然ながら罪に問われることになります。

もちろん起訴することはできますが、初犯であれば罰金は少ないです。

それよりも本人の反省具合を考慮する必要があります。あまり反省しておらず、再犯を繰り返す場合は懲戒解雇して問題ないです。起訴すれば、自主退職する可能性も高いです。

ただ、初犯で本人が深く反省しているようであれば、減給などによって対処するのが一般的です。例えば、「20%の減給を3ヵ月」などのような感じになります。その後、気持ちを改めて勤務態度が真面目になり、会社に貢献してくれるのであれば初犯の場合は大目に見て許すといいです。

しかしながら、不正利用が起こったということは「不正利用が起きる環境を作った会社側にも問題がある」といえます。便利な法人カードですが、最初から不正利用が起こらないように対策を練らなければいけません。

追加カードで個人的な交際接待費が計上される

まず、どのような場合で役員や従業員による私的利用が起こるのか把握しなければいけません。

追加カードの場合、役員や社員にもたせると交際接待費での支払いのときに、法人カードで自由に決済できるようになります。

社長であれば、たとえ家族で食事をしたときであっても「得意先と商談をした」ということにして経費計上するのは普通です。自分がリスクを取って創業した会社のお金であるため、代表者が経費として好きに使うのは当然の権利だといえます。

ただ、社長ではない役員や社員が勝手に法人カードを活用し、同じように家族や友人との食事で追加カードを活用して、「得意先の〇〇さんと食事をした」ということにして申告することも可能です、

社員数の少ない会社であれば、何かおかしいとわかるのでバレやすくなります。ただ、これが社員数の多い会社になるほど、社長の目が届かなくなるので私的利用が起こりやすくなります。得意先や新規開拓先との食事でなかったとしても、法人カードで決済されてしまうのです。

出張したかどうかは会社側が把握しているため、追加カードで私的な旅行を旅費交通費として計上する役員や従業員はさすがにいません。また、書籍代や事務用品代なども事務所で利用するものが基本となるため、私的利用しにくいです。

ただ、得意先を接待するのは普通なので交際接待費で不正利用が起こることを経営者は理解しなければいけません。

法人ETCカードの不正利用は分かりやすい

それでは、ETCカードはどうなのでしょうか。法人カードの中でも、法人ETCカードの不正はわりと簡単に分かります。ETCカードの請求書には、料金と区間(利用した料金所)が載ります。首都高速など、料金が均一で先払いの区間であっても、最初の料金所が請求書に載ります。

このときは利用した日付も記載されるため、私的利用すると明らかに不自然な請求書になります。

請求書を見れば、「なぜ、この日にこの料金所から高速道路に乗っているのだろう?」と疑問が浮かぶようになります。

また、ETC利用照会サービスというものが存在します。ここに登録しておけば、過去の利用履歴や利用明細の確認ができます。ETC利用照会サービスではETCカードごとに「入口・出口インター名と通過時間」「金額」を確認することができます。

法人カードの不正利用の中でも、ETCカードはわりと簡単に不正を把握することができるのです。

法人ガソリンカード(給油カード)の不正を防止する

ただ、追加カードの交際接待費と同じように、法人ガソリンカードは不正利用が分かりにくいです。給油した日は請求書に載りますが、「どの車に給油したのか」「給油した時間」などは記されません。

そこで一般的なクレジットカードではなく、特定のガソリンスタンドだけで使える「掛売りカード(掛けカード)」を活用するといいです。

掛けカードであれば、給油の際に「車番(車両番号:ナンバープレートの番号)」と「給油スタンド名」が記載されます。車番が伝票に載るため、社用車に給油したのか自家用車に給油したのか簡単に分かります。

もちろん、このときは会社の規定で「セルフのガソリンスタンドは使用不可」にしましょう。自らガソリンを入れる方法(セルフのガソリンスタンド)であると、車番が記載されないからです。

「利用するガソリンスタンドを固定させる」「セルフのガソリンスタンドを利用するとき、報告書の提出など何らかのペナルティーを課す」などを含め、法人ガソリンカードを社員にもたせる場合は使用方法を検討しなければいけません。

ガソリンカードであれば、基本的にどのガソリンスタンドであっても一律の値段になります。セルフでガソリンを入れるメリットはありません。あるとすれば、先に述べたように不正利用を行いやすいことくらいです。そのため、セルフのガソリンスタンドを利用禁止にすることは何も問題ありません。

ルール(利用規定)を設け、会社外へは持ち出し禁止にする

なぜ、社員による法人カードの私的利用による業務上横領が起こるのかというと、それは従業員に会社の追加カードやガソリンカードをずっと持たせているからです。こうした状況を改めなければいけません。要は、勤務時間外は法人カードをもたせないようにする必要があります。

例えば、会社の建物内の見やすい場所にカレンダーポケットを飾っておくようにします。ここに法人カードを従業員ごとに入れておくようにします。

出勤時にカレンダーポケットにある法人カードを取り、業務が終わって帰るときはカレンダーポケットに再び法人カードを返却するのを徹底させます。そうすれば、誰が法人カードを持ち出しているのか一瞬で把握できるようになります。

休日や勤務時間外については、法人カードを一切もてないようにルール化しなければいけません。特に給油カードは不正が起こりやすいため、必ずこうした対策が必要になります。

法人カードの利用範囲を限定しておく

社内規定を活用するとき、利用範囲をあらかじめ制限しておくことも重要です。どのような場面であっても法人カードを利用できるとなると、簡単に私的利用が起きてしまいます。

例えば、「上司(や社長)に報告しない限り、交際接待費での支払として追加カードを使えない」などのように定めておきます。誰と食事をするのかを明確にしておき、承認が下りたときだけ利用できるように決めるのです。

また、一般顧客が相手のビジネスをしているなど、不特定多数の人と商談することになります。こうなると、現実的に交際接待費の不正利用防止が難しくなります。その場合、法人カードはガソリン代(給油代)だけの利用に留めるなどの社内規定を用意しておくといいです。

社員の私的利用を疑うのは、会社組織でビジネスを動かすうえでよくありません。そこで、最初からこうした対策を取っておくべきです。

また、役員や従業員に対しても「不正利用の対策をしているため、すぐにバレるから絶対に変な気は起こさないように」と忠告しておくようにしましょう。

不正を追及するのは重要ですが、それと同時に不正が起こらないような体制づくりをすることも必須です。ETCカードやガソリンカードを含め、法人カードは非常に便利です。経費精算の手間を省けるだけでなく、高速道路や給油時の割引機能も付いているため、無駄な経費を削減することもできます。

ただ、役員や社員など社内の人間に会社のクレジットカードをもたせるときは十分に注意するようにしましょう。何も対策をしていないと、必ずどこかで不正利用が起こります。そうならないためにも、最初から社内体制をしっかりと構築しておくことが重要です。

不正利用の防止で重要となる法人カード

それでは、役員や社員による私的利用を防ぐときにどのような法人カードを活用するといいのでしょうか。

法人カードによって特徴は大きく異なります。会社によってニーズが異なるため、どのような法人カードを発行すればいいのか特徴ごとに理解しなければいけません。

そこで、以下ではどのような法人カードが適切なのかについて確認していきます。

オリコ EX Gold for Biz

追加カードを発行する場合、すべてのカード利用額を合算して計算されます。例えば利用限度額が100万円の場合、社員が追加カードで30万円利用すれば、残り70万円しか利用枠がありません。

限度額の大きい法人カードとしてオリコ EX Gold for Bizがあります。ゴールドカードであり、利用限度額は10~300万円です。

また、オリコ EX Gold for Bizは追加カードの発行が3枚までと制限されています。むやみに多くの枚数を発行できないため、どの社員であっても好きに活用できないようにすることが可能です。

追加カードの枚数が制限されているのは、普通に考えると不便です。ただ、役員や従業員の私的利用防止という観点では優れています。なお、追加カードは年会費無料で発行できます。

三井住友ビジネスカード for Owners

法人カードの不正利用が起こるとき、「退職前に社員が高額な私的利用をして去っていった」などの事態を生じることがあります。

ここまであからさまでなくても、「いつもよりもカード決済額が少ないので、少しだけであれば私的利用してもバレないだろう」などのように考える役員・社員はいます。

そうしたとき、利用限度額を少額(必要最低限)に設定できる法人カードがあれば、それだけで役員や従業員による私的利用を防ぎやすくなります。三井住友ビジネスカード for Ownersのスペックは普通であり、限度額は10~80万円です。

「限度額500万円以上可能」などのようなハイスペックのカードでないため、不正利用防止という観点では利用限度額が少ないのは優れています。

どれだけの利用限度額が適切なのかについては、毎月経費精算しているので分かるはずです。ここから逆算して、カードの利用限度額を決定するといいです。

ETC協同組合の法人ガソリンカード

法人カードの中でも、ガソリンの支払いに特化したカードとして高速情報協会組合の法人ガソリンカード(給油カード)があります。

ガソリンカードであるため、法人カードの利用は給油だけに限られます。役員・社員に対して一般的な法人カード(追加カード)やETCカードを発行する予定はないものの、ガソリンについては法人カードを活用したい場合に優れています。

発行されるガソリンカードとしては、エネオスか出光から選ぶことができます。特定のガソリンスタンドだけで給油可能であるため、給油スタンドを含め社内規定を作っておけば不正利用を防げるようになります。

ガソリン・軽油に特化したガソリンカードであるため、灯油代や洗車代など個人的な支払に法人カードを使われるリスクがなくなります。また、利用明細には「利用日時、車輌番号、利用ガソリンスタンド」が記載されます。

カード発行手数料や維持費が無料であり、個人事業主や新設の会社でも申し込みできる法人ガソリンカードです。会社によっては、ガソリン代だけはこうした機能制限付きのガソリンカードを活用することで私的利用を防いでいる法人も存在します。

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